定理 3.1 n, m を n > m > 0 を満たす整数とする。
二つの n次曲線 S1, S2 の n2個の交点のうち,
nm個が一つの m次曲線上にあれば,
残りの n(n-m)個は n-m次曲線上にある。
定理 3.2 n, m を n > m > 0 を満たす整数とする。
S1, S2, S3 は n次曲線で
m次曲線上の nm点で交わっているとする。
Si と Sj に対する定理 3.1 の n-m次曲線を T6-i-j
とすれば, T1, T2, T3 は共点である。
n=3, m=2 で Si が 3直線の場合がパスカルの定理です。
n=3, m=1 で Si が 3直線の場合が下左図で,パスカルの定理の逆が3つ重なっています。
n>3, m=2 で Si が n直線の場合が 2.のパスカルの定理の拡張です。
下右図は n=4 の場合です(円上の点は動かせます)。
4. パスカル線とキルクマン点
E. Loid:"Symmetry and Pattern in Projective Geometry"(Springer)の96ページに
The Kirkman points and Pascal lines form a configulation (603),
which consists of three separate Dezargues' (103) configulations.
と書いてありますが, three は six が正しいと思われます。
この記述の後半部分について図を用いて説明します。
二次曲線上の 6点(どの 3点も一直線上にない)のすべてを通る 3直線は 15通りあります。
それをグラフで表したものが下図の a から o です。
a から o のグラフから同じ辺を共有しない 2つ(例えば a と b)を選べば,
合わせて六角形ができ, 一つのパスカル線が対応します。
また, 同じ辺を共有しない 3つを選べば,
それらを合わせて完全二部グラフになるとき(例えば abf)はシュタイナー点,
そうでないとき(例えば abc)はキルクマン点が対応します。
以下の6つのグループを考えます。
I : {a, b, c, d, e}, II : {a, f, g, h, i}, III : {b, f, j, k, l},
IV : {c, h, k, m, n}, V : {d, g, l, m, o}, VI : {e, i, j, n, o}
これらのグループには以下の特徴があります。
1. a から o のどの文字も二つのグループに属す。
逆に, どの二つのグループにも共通の文字が一つだけある。
2. 各グループ内の 5つのグラフには共通の辺がなく,
全部合わせると完全グラフになる。
3. 同じグループに属しない 2つのグラフには共通の辺がある。
特徴 2. より, 各グループから 2つのグラフを選べば, パスカル線が対応し,
3つのグラフを選べば, キルクマン点が対応します。
3つのグラフを合わせて完全二部グラフにならないことは上右図からわかります
(q のグラフからどの 3本の辺を選んでも, 辺が 2本出ている頂点ができてしまうから,
a から o のどの二つのグラフをあわせても q にはならない)。
したがって, 一つのグループから 10本のパスカル線と10個のキルクマン点が得られます。
さらには, 一本のパスカル線上には 3個のキルクマン点があることもわかります
(例えば, ab に対応するパスカル線上には abc, abd, abe に対応するキルクマン点)。
同じ辺を共有しない 2つのグラフに対して合わせて完全二部グラフとなるグラフは
一つだけである(例えば, ab に対しては f)ことから,
一本のパスカル線上のシュタイナー点は一つだけであることがわかります。
また, 上述したように合わせて完全二部グラフとなる 3つのグラフは一つのグループに属しないことから,
シュタイナー点で交わる 3本のパスカル線は異なるグループに属すこともわかります。
例えば, abf に対して ab, af, bf はそれぞれ I, II, III に属す。